**糖新生(gluconeogenesis)**とは、体内で糖を新しく作る代謝経路です。
通常、糖は食事から摂取しますが、食事をしていないときには体内で糖を作る必要があります。
糖新生では主に次の物質から糖が作られます。
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乳酸
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アミノ酸
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グリセロール(脂肪分解産物)
この反応は主に
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肝臓
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腎臓
で行われます。
この仕組みは血糖値を維持し、脳にエネルギーを供給するために不可欠です。
目次
人間では睡眠中や空腹時に糖新生が起きている
人間は食事をしない時間帯に糖新生を行っています。
特に起こりやすいのは
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睡眠中
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空腹時
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長時間の運動
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断食状態
です。
例えば朝起きたときの血糖は、ほぼ糖新生で維持されています。
睡眠中は食事をしていないため
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肝グリコーゲン分解
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糖新生
によって血糖が保たれています。
つまり、人間は毎晩「軽い飢餓状態」になっていると言えます。
冬眠動物の糖新生はさらに極端
冬眠動物でも糖新生は重要な役割を持っています。
ただし、冬眠では通常の代謝とは違う特徴があります。
冬眠動物では
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食事なしで数ヶ月生存
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体温が大きく低下
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代謝が10分の1以下
といった状態になります。
このときエネルギーの主な供給源は
脂肪代謝+糖新生
です。
脂肪が分解されると
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脂肪酸
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グリセロール
が生まれます。
このうちグリセロールが糖新生に利用されることで、必要最低限の血糖が維持されます。
人間との最大の違い
人間と冬眠動物の違いは代謝の抑制レベルです。
| 状態 | 人間 | 冬眠動物 |
|---|---|---|
| 体温 | 約37℃ | 数℃〜10℃ |
| 代謝 | 通常 | 極端に低下 |
| 糖利用 | 脳中心 | 最小限 |
| 主エネルギー | 糖+脂肪 | 脂肪中心 |
人間は覚醒状態を維持するため
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脳
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筋肉
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神経
が活動し続けます。
そのため、冬眠レベルまで代謝を落とすことができません。
人間は「疑似冬眠状態」に近い代謝になることがある
完全な冬眠ではありませんが、似た代謝状態になるケースがあります。
例えば
長期断食
断食が続くと
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脂肪分解
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ケトン体生成
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糖新生
が強く働きます。
このとき脳のエネルギーは
糖 → ケトン体
へ部分的に切り替わります。
これは冬眠動物と似た代謝戦略です。
低炭水化物食(ケトジェニック)
糖質が少ない食事では
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脂肪代謝
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糖新生
が活性化します。
この状態も軽い冬眠代謝に近いと言われることがあります。
人間が冬眠できない理由
人間が冬眠できない主な理由は
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脳が大量のエネルギーを必要とする
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体温維持が必要
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神経活動が高い
ことです。
特に脳は
全エネルギーの約20%
を消費しています。
冬眠するためには
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神経活動の抑制
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体温の大幅低下
-
代謝抑制
が必要ですが、人間はこの調整ができません。
まとめ
人間と冬眠動物には共通点があります。
それは
糖新生という代謝経路を利用していることです。
しかし生理状態は大きく異なります。
人間
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覚醒状態を維持
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糖中心代謝
冬眠動物
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代謝を極端に抑制
-
脂肪中心代謝
つまり糖新生は同じでも
代謝戦略が全く違う
と言えます。







