怖い頭痛の対処法
くも膜下出血の場合
頭の中で何かが起きたと思ったら
くも膜下出血の場合
くも膜下出血は、中後年の突然死や過労死の原因として、しばしば取りあげられますが、命に関
わる危険が非常に高い病気です。
カナヅチで殴られたような激しい頭痛、嘔吐、けいれん、。意識障害などが突然起きます。しか
し、出血場所や出血量によって、症状の表れ方が違います。
「危険な頭痛を見分ける」でも紹介したように、激しい痛みがない時に、「痛みがないからくも
膜下出血ではないだろう」と考えてしまうと、手遅れになる危険性があります。
「頭の中で何か大変な事が起こった」感じがしたら、「ひょっとしたら、くも膜下出血ではない
か?」と考え、すぐに救急車を手配し、脳神経外科に運んでもらいましょう。
●救急車が来るまでの対処法
患者をゆっくり横にして、衣服を緩めて、楽に呼吸出来るように顎を引きあげます。(気道確保)
嘔吐に備えて顔を横に向けます。不用意に動かしたり、ゆすったり、たたいたりして呼びかけない
で下さい。
これは脳の病気に共通した対処法ですから、覚えておいて下さい。
あわてないで、しっかり対処しましょう。
救急車が来るまでの対処法
①顔を横に向ける(身体全体を横にして、上になる肘とひざを曲げ、交差させ、倒れないように)。
衣服を緩める。顎を引きあげる。
②不用意に動かさない事
③呼びかけたりもしない事
脳腫瘍の場合
だんだんひどくなる頭痛は脳腫瘍を疑って
1ヶ月くらいのうちにどんどん頭痛がひどくなるようなら、脳腫瘍を疑います
。
腫瘍が発生した場所によって症状は違いますが、ぼんやりしている、ものが二重に見える、マヒ
がある、けいれんがあるいった症状を伴っている事が多いようです。
朝起きた時に頭痛がして、身体を動かしているうちに楽になるという「早朝頭痛」も脳腫瘍に見
られる症状です。
脳腫瘍といっても良性のものが多いので、怖がらずに脳神経外科で検査を受けましょう。
CTやMRI検査で詳しく調べます。眼底検査を行うと、視神経乳頭に腫れがあるのがわかります。
脳腫瘍に多く見られる「うっ血乳頭」です。
良性腫瘍はたいてい手術で取り除く事が出来、症状も消え、完治します。放射線や薬で治るもの
もあります。
最近は、顕微鏡を用いて、精密な手術が行なわれようになり、安全性や確実性を増やしています。
ポイントは、ものが二重に見えたら・眼底検査
低髄液圧症候群の場合
最近注目の頭痛で、髄液が減ることで起こります
豆腐を水に入れて保存するように、脳は頭蓋骨の中で、髄液の中に浮いています。
ところが、この髄液がなんらかの理由で漏れ、減ってしまうと、脳をつなぎとめている神経や血
管が引っ張られて激しい頭痛が起こります。
これを「低髄液圧症候群」と言います。最近、注目されるようになった病気です。
寝ているときは、それほどでもないのですが、起き上がると強い頭痛が起きます。
頭を振ったり、気張ったりしてもガンガンと激しい頭痛がします。
髄液が漏れる原因は、腰椎麻痺や髄液検査で腰椎に針を刺した場合や、下痢、飲水不足による脱
水症状の他、原因不明の事も少なくありません。
専門的知識が必要なので、神経内科、脳神経外科、麻酔科などで診察を受けて下さい。
腰椎に針を刺して髄液を採取して、髄液圧を測定します。あるいは、MRIによっても診察が可能で
す。
治療法は、横になって安静にし、鎮痛剤を飲み、点滴を行なって、髄液を増やすようにします。こ
れでほとんどの症例は改善します。
●低髄液圧症候群が起こる仕組み
脳と脊髄は、髄膜に包まれ、髄液の中に浮かんでいる状態にあります。
髄液が破れ、髄液が減ってしまうと脳が下がり、頭痛が起こるのです。髄液にできた穴を塞ぐ必
要があります。
頭を強く打った場合
頭の中で出血している可能性があります
転倒したり交通事故などで頭を強く打ったときは、まず、落ち着いて、意識があるか、どうかを確
認します。
意識状態が悪い時は、脳に大きな損傷を受けてたり、頭蓋内に出血したりしている可能性があり
ます。(急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、脳内血腫など)。
救急車を呼んで、脳神経外科へ運びます。
意識があっても、静かに休ませます。安全な場所運ぶ時は、頭と身体を一本の丸太のように動か
します。頭を揺らすと状態が悪くなるからです。
打った直後は意識がしっかりしていても、やがて吐き気や頭痛がしてくる事もある(急性硬膜外血
腫)ので、しばらくは様子を見ましょう。
その後必ず、脳神経外科を受診してください。出来るだけ身体を動かさないように車で行くように
します。
頭を打ってから、1~3ヶ月くらいしてボケのような症状が出てくるのは慢性硬膜外血腫です。脳
神経外科でCTやMRIを受ければすぐに診断がつきます。
交通事故などで、むち打ち症になると頭痛がします。むち打ちの頭痛は長引く事が多いのですが、
損傷→痛み→筋の収縮→血行障害→筋肉もコリ→痛みという悪循環が出来上がるからです。
たとえ重症のむち打ちであっても、時間が来れば頭痛は治るはずです。
ポイント
ボケ症状が出てきた時も。
頭を打った直後は、元気でもちゅういが必要です。
救急車を呼ぶ場合、これだけを注意して
頭痛を訴えて意識がなくなったら、くも膜下出血、脳出血が疑われます。どちらも命に関わる病気
ですから、急いで救急車を呼び、脳神経外科へ運んでもらいましょう。
救急車を呼ぶとき
救急車を呼ぶとき
局番なしの119番に電話します。
「火事ですか?救急ですか?」と聞かれるので、「救急です」とはっきり答えます。
来て欲しい場所を伝えます。
〇〇市〇〇区〇〇町〇番〇号(マンション名、アパート名〇〇号)と電話番号も伝えます。
△△(名前)も伝えます。
誰が(年齢)、いつ、どこで、どのようにして、どうなったかを伝えます。